柚餅子総本家中浦屋の「丸柚餅子(まるゆべし)」は、大粒で肌がきれいな柚子を丸ごと贅沢に使ってつくられます。手仕事で柚子の中身を丁寧にくり抜き、柚子釜に秘伝の餅だねを詰め、柚子と餅だねがなじむように蒸し上げ、半年間の自然乾燥を経て「丸柚餅子」が完成します。

この「丸柚餅子」の歴史は室町時代に始まります。
明治43年の創業から百余年、柚餅子総本家中浦屋では、その歴史をふまえた特色ある菓子として「丸柚餅子」を製造し、現代に継承してきました。

これまで経験したことがない芳醇な柚子の香り

丸柚餅子製造工程5 - 柚餅子総本家中浦屋

柚餅子(ゆべし)の歴史は古く、源平の時代に生まれたとも伝えられております。
当時は菓子というよりも保存食・携帯食であったらしく、時代と共に現在のようなお菓子へと変化したといわれています。

加賀藩前田家が伝承

百万石を誇る加賀藩前田家に仕えた料理頭舟木伝内の息子、舟木安信が書いた料理書には「丸柚餅子」の製法が載っています。

260年をこえる昔、加賀藩前田家で記された「丸柚餅子」の製法と歴史ですが、その原型である塩からい柚餅子の歴史は530年前にさかのぼり、室町時代の古文書に登場します。

以来、前田家のお殿様が召し上がった「丸柚餅子」は、包丁侍と呼ばれた料理人らの手によって洗練し伝承されてきたのです。

悠久の歴史を経て現代に伝えられた「丸柚餅子」、責任と誇りをもって柚餅子総本家中浦屋が継承いたしております。

輪島塗の行商でひろがる

柚餅子総本家中浦屋が創業した輪島の基幹産業は輪島塗です。
古くから輪島塗の商い方法は全国各地のお得意様を訪ねる行商でした。

お客様のもとで注文をいただく折、納品にお伺いする折、折に触れ重宝されたのが「丸柚餅子」でした。

長期の保存ができることも手伝い、行商人らは安心してお土産として持ち歩いたのです。

長く行商に歩き「丸柚餅子」が硬くなると、訪問先の厨房で蒸し直したり炙ったりと行商人も腕をふるったようです。

「ゆべし」と名付くるものは各地にありますが ここのは日本一の折紙をつけてよいと思います
柚のなかに餅を入れて作ります
形よく色よく それに長い年月によく堪えます

柳 宗悦 著 「手仕事の日本」より
丸柚餅子(スライス) - 柚餅子総本家中浦屋

中浦屋の「丸柚餅子」は、美しい飴色、柚子の香り、上品な甘さと微かなほろ苦さ、これらの絶妙さが時には芸術品と評されるほど、多くの方々に愛されています。

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