一年に一度しか製造できない貴重な一品
各地にも名物の「柚餅子(ゆべし)」がありますが、中浦屋の「丸柚餅子(まるゆべし)」は完熟した中でも特に大粒で品質の良い厳選した柚子を丸ごと1個、贅沢に使います。
秋に収穫される旬の柚子の中身をくり抜き、その中に秘伝の味付けをした餅だねを詰め、それを数回蒸して約半年間も自然乾燥させる、という古くからの製法で一つ一つ丹念に作られる手作り銘菓です。
柚子の苦味と抑えた甘さが口の中で広がる滋味芳香としたこの珍菓は歴史も古く、源平のころ保存食、携帯食として生まれたものです。年に一度しか製造しない「丸柚餅子」は、輪島の古い文化もひそかに伝承しています。
時間と愛情から生まれる至極の味わい
手間暇を惜しまない本物ということ
霜月に入り晩秋を迎えると、契約農家さんと市場から肌がきれいで粒ぞろいの柚子を仕入れます。
柚子の上部に丸い穴を開け、作業用につくられた竹べらで中身をくり抜きます。
外皮から明かりが透ける薄さになるまで、皮裏のワタを丁寧に削ぎ取り柚子釜をつくります。
ほどよく蒸した柚子釜に、もち粉・砂糖・醤油・柚子皮などで調味されたねばりの強い餅だねを詰め入れます。
柚子釜に蓋をしてからしばらく蒸して、柚子釜と餅だねがひとつになるようになじませます。
かたちを現した黄色く若い「丸柚餅子」は、晩秋から寒の内を経て約半年の自然乾燥により熟成します。
ふたたび蒸しあげ、艶やかな飴いろに輝く「丸柚餅子」となります。